風来坊

名前なんて　別にいらない。
釣り竿とこの拳さえあれば　特に不自由はしない。


・・・ん？なんだ？


エル男はじっと　見つめている。
「貴方は・・・もしや・・・？」
はて、こんなやつどこぞで関わったやら。


「お久しぶりです　兄さん！僕ですよ！」
ムムム。
よく見れば　このサブリガはっ・・・！


「思い出してくれたの？おにいたま（はぁと♪　うれしーっｗ」
ちょ・・・！
誤解なんです　そこのお姉さん！オイラは違うから！

そういえば・・・


あれはいつのことだったか。
ちょっと記憶の糸をたどってみようと思う。
そもそもこの場所が　似ているんだ。

そう　あの時も似たような風景のこの場所で。
オイラはちょっとこの拳を試そうとしてたんだ。

そしたらさ。
なんか　見知らぬサブリガが先にそこにいて
なんでもヤグのお宝を狙って忍び込んだはいいものの
そのひょろっとした細身で１人で苦戦してたらしい。
まあお宝には興味ないがこの拳が役に立つならっていうんで
ちょっとだけ手助けしてやったことがある。

そしたら　奴は１人よりとても楽しいと、ものすごく喜んだ。


「ありがとう(*'人')　ありがとう♪♪♪」
「貴方がいてくれて　本当によかった。」
「その拳・・・とても素敵です！」
まあ　そう言われて悪い気はしないさ。
首の長いサブリガ　とか思ったけど話してみたらいい奴だったしな。

この時までは。





「もう　超超感激♪」
Σ(゜д゜|||)！？！？！？

「たくましい腕ですね！　どんな大物マグロを今まで獲ってきたんです？」
「次に会えるのはいつかわからないんですね・・・。」

それまでおちゃらけてた奴が急にしんみりと黙った。




・・・次は　大ナマズ狙いなんだ。ペリカンリングをな。。。

どうしてだかはわからない。
気がついたらこんなことを言っていた。

次にいつここを訪れるかなんて　約束はできない。
けど　サブリガはここにいるからいつでもまた来て欲しい、と。
見た目もギャグも寒い奴だけど　こういう素直さもいいかもしれん。


「兄さん・・・」



「黒狙いでｗ　モンクはいややｗ　歌と忍術も落とせｗ　金貨うまーｗ」

こんな奴だが　友　だろう。